浅層フロントライン
動画の解説文
浅層フロントライン
皆さんこんにちは。
皆さんは施術の際に筋肉や筋膜の繋がりを意識しているでしょうか?
今回は数ある筋膜ラインの1つである『浅層フロントライン』についてお話していきます。
筋膜そのものが何のことかわからないという方は、過去の動画をご覧いただくと、より理解が深まると思いますので是非ご覧ください。
それでは最後までよろしくお願い致します。
浅層フロントライン
浅層フロントラインは、別名“スーパーフィシャルフロントライン”ともよばれていて、体の前面を走行している筋膜ラインです。
このラインは、他の筋膜ラインとは異なり、上半身と下半身が1つの筋膜で繋がっていないのが特徴です。
立っている状態では、恥骨を介して機能的に連結しますが、股関節を曲げている状態では「頭~骨盤」「骨盤~足先」の2ラインに分けられます。
また、浅層バックラインと、互いを引っ張り合うことで体のバランスを維持しています。
特徴と役割
浅層フロントラインは姿勢の維持と、反射行動において重要な役割を担っています。
速筋繊維がメインで構成されていることから、瞬発力に優れ、パワーがあるのが特徴です。
大きな音や振動などの外的刺激に反応して体をすくめる動作は、このラインの働きによっておこり、自分自身の身を守るために重要な役割をしています。
またこのラインは、感情との関わりが強いラインとされており、心理的なダメージを負った時や、精神的にゆとりがない時などに、不調が表れやすいといわれています。
例えば、恐怖を感じた時の縮こまった姿勢や、怒りを感じている時の前傾姿勢、そして、うつ状態の時のうなだれた姿勢など、ネガティブな精神状態と相関的な関係にあります。
本来、人間の体の前面には顔や臓器、生殖器など、弱点になり得る部分が多く存在するため、これらの反応は、無意識に弱点を守ろうとする自然な働きともいえ、同時に速筋繊維がメインになっている理由ともいえます。
主な筋肉の繋がり
浅層フロントラインは、頭皮筋膜から始まり、胸鎖乳突筋を通り、胸骨筋、腹直筋へと繋がります。
頭皮筋膜は後頭部にある「ラムダ縫合」を通り、浅層バックラインに含まれる「帽状腱膜」と合流しています。
胸鎖乳突筋は、主に首の旋回動作と屈曲動作に関与しますが、息苦しいなどの呼吸困難時には呼吸補助筋としても働きます。
腹直筋も呼吸に関係する筋肉であると同時に、抗重力筋でもあるため、姿勢を維持するために重要な役割をしています。
この筋肉が極度に弱ってしまうと、骨盤の前傾が強くなり、腰痛の原因になる恐れがあります。
下半身は大腿直筋から始まり、前脛骨筋、長趾伸筋、短趾伸筋に繋がります。
大腿直筋は股関節と膝関節を跨ぐ二関節筋で、筋肉のコンディションは骨盤や膝に影響します。
前脛骨筋、長趾伸筋は、足関節を脚の甲側に曲げる作用があり短趾伸筋はつま先立ちの動作などで作用します。
ケアのヒント
頭皮筋膜はラムダ縫合を通ると同時に、頭頂骨、後頭骨、側頭骨の結合部であるアステリオンをとおるため、ヘッドマッサージはこのラインをほぐすための有効な手段と考えることができます。
また、そのあとに続く胸鎖乳突筋も、筋肉そのものは乳様突起に付着していますが、頭皮筋膜で繋がっているため、頭部から首にかけてトータルでケアすると効果的です。
他にも、腸もみなど、腹部へのアプローチも有効です。
感情に関係していることから、気持ちの落ち込みや、精神的な疲労がある場合、体は前傾になりがちなため、腹部が硬くなってしまいます。
また、『脳腸相関』の観点からみても、腹部へのアプローチは、脳(心)の疲れに対してポジティブな効果が期待できます。
セルフケアは、太ももの前面をストレッチして、股関節を柔軟に保っておくことが大切です。
加えて、ストレッチによる副交感神経を優位にさせる作用は、乱れた心を落ち着かせる効果が期待できます。
今回のおさらい
それでは最後に今回のおさらいをします。
・浅層フロントラインは、別名“スーパーフィシャルフロントライン”ともよばれていて、姿勢の維持と、反射行動において重要な役割を担っています。
・大きな音や振動などの外的刺激に反応して体をすくめるなど、身を守るための動作に繋げています。
・感情との関わりが強いラインとされており、心理的なダメージを負った時や、精神的にゆとりがない時などに不調が表れやすいといわれています。
・施術の際は、ヘッドマッサージや腸もみなど、筋膜の繋がりや、心の状態にも目を向けながら施術を組み立てることが大切です。
最後まで動画をご覧いただき、ありがとうございました。
それではまた次の動画でお会いしましょう。