猫背を学ぼう(前編・後編) 動 画
動画の解説文
猫背を学ぼう!(前編・自律神経)
皆さんこんにちは。猫背でお悩みのお客様、皆さんの周りにも多いのではないでしょうか。
世の中には猫背矯正と呼ばれるものもありますが、猫背を治すのは簡単ではなく、猫背に悩む人自身が、日頃から良い姿勢を意識することが大切になります。
“意識する”というと、それもまた難しく、我々セラピストにとっても、その重要性やコツを伝えることは重要な課題です。
良い姿勢を意識するためのサポートとして、猫背が招く様々な不調について知っておくことはとても大事なので、今回は猫背をテーマに、前編と後編に分けてお話していきます。
『猫背が引き起こす不調について』
猫背の原因として
・長時間のPC作業やスマホ操作
・不良姿勢による骨盤の後傾
・脚を組む癖がある
などがよく挙げられます。
いずれも背中が丸まりやすく、首を前に傾ける姿勢になるため、ストレートネックの原因になるとも言われています。
次に、それに伴う不調を挙げると、
・肩こりや頭痛
・内臓機能の低下
・呼吸が浅くなる
などが挙げられます。
他にも、様々な不調を引き起こす猫背ですが、今回はこの3つの不調について深堀していきたいと思います。
《肩こり》
猫背になった肩甲骨周辺には、常に伸張ストレスが働きます。
これは前傾姿勢のために前に出た腕を落とさないようにするためのもので、動きそのものは小さくても長時間に及ぶことで、血行不良を招き、肩や首の硬直に繋がります。
特に、肩甲骨と頭部を繋いでいる肩甲挙筋は伸張ストレスに加え、頭部の重さを支えることから、肩こりの原因筋としてよく知られています。
肩甲挙筋はインナーマッスルにあたるので、日頃からストレッチやエクササイズなどで動きをつけることが予防として効果的です。
他にも、頭を持ち上げる時に酷使される、後頭下筋群付近には、脳に栄養を届けるための椎骨動脈があり、後頭下筋群、所謂首根っこの硬直は脳への栄養供給を妨げ、頭痛や慢性的な疲労感の原因になります。
《内臓機能低下》
丸まった姿勢は内臓を圧迫してしまいます。腸は食べ物の消化吸収に加え、良質な血液を作る働きもあります。
腸がうまく機能しないと、栄養と酸素が血液に送られない上に、ドロドロな血液となり、全身に行きわたらず冷えやむくみの原因となります。
更に、自律神経を整えるのに重要とされる神経伝達物質、セロトニンの役90%が腸で作られているため、精神の安定や感情のコントロールにも影響が現れます。
《呼吸が浅くなる》
猫背による肩甲骨が前に引っ張られた状態は、肋骨を上から押さえつけた状態となり、胸郭の動きを制限してしまいます。
それはつまり、肺の膨らむ範囲も制限してしまうこととなるので、必然的に呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅くなると、脳が酸欠状態となり、疲れを感じやすくなります。
とくに、睡眠時の呼吸は、身体のエネルギーを無駄に消費しないよう最小限に抑えようとする働きがあるので、呼吸が浅い状態が習慣化すると、睡眠の質が下がり、寝ても疲れが取れない状態が続いてしまいます。
いかがだったでしょうか。
猫背は一般的に肩こりと結び付けられることが多いですが、このように、脳疲労や自律神経の働きにも悪影響を与えます。
加えて、丸まった姿勢は脳脊髄液の流れを悪くするということは言うまでもありません。
後編では、猫背を改善する上で注目すべき筋肉にスポットをあて、施術に役立つヒントをお話したいと思います。
それでは、後編の動画をご覧ください。
動画の解説文
猫背を学ぼう!(後編・注目すべき筋肉)
皆さんこんにちは
今回は前回に引続き、猫背をテーマに、施術の際に注目したい筋肉についてお話させていただきます。
猫背に悩まれている人の多くは、巻き肩になっており、この巻き肩が猫背を誘発します。
しばしば混同されることもある巻き肩と猫背ですが、巻き肩は猫背になるまでのプロセスであり、巻き肩が悪化した状態が猫背も言っても過言ではありません。
なので、丸まった背中ではなく、原点に立ち返り、巻き肩を作っている筋肉に注目してみましょう。
巻き肩、そして猫背の特徴として、肩が内巻きとなり、肩甲骨が前に出ていることが挙げられます。
肩を内側に動かすことを、肩関節内旋といい、この作用をもつ筋肉が何らかの原因で収縮し硬くなると、巻き肩を誘発します。
胸の筋肉にあたる大胸筋は、上腕骨と鎖骨に付着しており、大胸筋の収縮が腕を内巻きにし、加えて鎖骨と肩甲骨が一体化していることから、肩甲骨を前に引っ張り、肩甲骨周りの筋肉にストレスを与えます。
また胸骨にも付着していることから、呼吸のコンディションに影響を与え、自律神経や、睡眠の質にも深く関わってきます。
次に広背筋です。
広背筋は、骨盤と背中から上腕骨に伸びる大きな筋肉です。
骨盤、背骨、肋骨、肩甲骨と、多くの関節を跨ぐように付着しているため、疲労の連鎖も起こりやすく、日頃からストレッチなどで柔軟にしておくことが大切です。
今紹介した筋肉は肩関節の内旋動作に関わり、肩甲骨を前に引っ張る筋肉です。
では次に肩甲骨に引っ張られる筋肉にも目を向けてみましょう。
肩甲骨と背骨を繋いでいる菱形筋は、肩が内巻きになると、外側に引っ張られます。
すると同時に、肩甲骨を安定させるために、背骨方向にも力が加わります。
この働きは菱形筋のアウターマッスルである僧帽筋にも伝わり、僧帽筋が付着する肩、首、背中まで不調がおよびます。
背中側の筋肉はそれぞれの作用に加え、姿勢を保持する役割もあるので、硬くなりやすい傾向にあります。
筋肉にとって、血液は潤滑油の働きをしているので、日頃から肩甲骨周りを動かして血液を循環させることが大切です。
いかがだったでしょうか。
猫背は単純に姿勢が悪くなったというワケではなく、いくつもの筋肉の疲労の連鎖によって作られています。
それらを知ることで、施術やアドバイスの幅がグンと広がります。
ぜひ、参考にしてみてください。
それでは『猫背を学ぼう 前編・後編』のまとめです。
『猫背が引き起こす不調』として、肩こり、頭痛、内臓機能の低下、呼吸機能の低下など、猫背は肉体的不調以外にも自律神経の不調にも影響を与えることをお話しました。
猫背の改善策として、丸まった姿勢ではなく、巻き肩を作り出す筋肉に注目することで、施術の引き出しや、アドバイスの幅が広がり、お客様の健康な身体づくりのサポートに役立てます。
今回紹介した猫背の不調や改善方法は数ある情報の中のほんの一部ですが、皆さんのお役に立てたら嬉しいです。
これからもセラピストの皆さんに役立つ情報を提供していきますので、宜しくお願い致します。
それでは次の動画でお会いしましょう。
動画制作者:森脇ゆう
猫背で背中が丸まっている人で健康的に見える人はいませんが、施術でお体を触らせていただくと、本当にその通りです。
首、肩、だけではなく、頭痛、腰痛、生理不順など、様々なお悩みをお持ちです。猫背改善の施術やアドバイスができるようにしておきましょう!
